「逃げ恥」のエンディングテーマを担当したことで人気に火が点いた、姉妹ユニットのチャラン・ポ・ランタン。2018年11月23日に行われた、結成10周年記念コンサートの最後。姉の小春が話してくれた、彼女がアコーディオンに出会ったストーリーに涙した人は多いと思う。

人見知りで、あまり人と関わるのを好まない小春は、小さなころ、アコーディオンという馴染みの少ない楽器に惹かれた手に取った。10代のすべてをアコーディオンに費やすことができたのは、この楽器が「ひとりで完結させられるもの」だったからという。

20代は、妹のももを巻き込み結成したユニットのチャラン・ポ・ランタンで作曲とアコーディオンを担当。カンカンバルカンというフルバンドメンバーとコンサートを続けるなかで、次第にバンドとして演奏をすることに楽しさを感じ、いまはこうやって多くの人と音楽を続けていきたいと思っていると、涙ながらに話した。

今でもひとりが好きだし、人と関わるのは好きではないまま。性格が変わったわけではないし、きっとこれからも変わらない。これは、ひとりで完結できるアコーディオンという楽器に出会えたことが大きい。なぜなら、誰にも邪魔されず、ひとりでずっと続けられるものだったから。

たぶん、スキゾイド的性質を持つ人なら深く感じ入ることも多いんじゃないだろうか。

小春は「だから、いま友だちがいない人も安心しろよ」というようなことを、最後に笑顔で述べた。これはべつに「そのうち友だちできるから大丈夫」ということではなく、友だちができたりできなかったりしても、帰ってくる場所(=アコーディオン)があるなら大丈夫、ってことを言いたかったんだと解釈している。

スキゾイド的性質を持つ人は、内面的充実で幸福を感じられる生き物だ。だから、内面的充実が計れるものを持っているなら、人間関係なんて持たなくても大丈夫。ただし、なにものにも侵入を許してはいけない。小春からアコーディオンを取り上げてはいけないように、我々の内面的充実を取り上げるような人間と関わってはいけない。

この記事は、涙目のまま、公演後の物販列に並びながら書いた。小春がいつまでもアコーディオンを続けられるように、チャラン・ポ・ランタンが10年後にスタジアム級のステージで20周年記念公演を開催できるように、これかも蕩尽しようと思う。

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