生田斗真 × 二階堂ふみ『脳男』 感情を持たない人間兵器と、感情を無くした爆弾魔の死闘の末に

脳男

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あの問題作が映画化!

昨年「悪の教典」を観たときに初めて予告編を観て、あの問題作がついに映画化かー、と驚いたことを覚えています。ちなみにその予告編、とてもつくりが上手く、期待を煽る効果はバツグンでした。

簡単にあらすじを説明しますと、

連続爆弾テロを起こした犯人を追う刑事(江口洋介)が、操作途中で犯人と思しき男を取り押さえるが、捜査が進んでいく内にどうやらこの男は真犯人を捕まえようとしていたことが分かった。しかし奇妙なのは、この男、一切感情を持たないのだ。重大な犯罪者として精神鑑定を受けるが、精神障害等の症状は一切診られなかった。

この不可思議な存在を信じきれない精神科医(松雪泰子)は、自分なりにこの男の過去を追っていくうちに、とんでもない真実を知ることとなる!

…となるでしょうか。

正直言って、現代風の舞台設定なわりにつくりが古臭い。太陽にほえろばりに熱血で暑苦しい刑事役を江口洋介。自分の弟を殺害した少年を自ら精神鑑定し、その後の更生を信じる精神科医に松雪泰子。爆弾テロ犯役と精神科医の弟殺しの犯人役に映画「ヒミズ」のコンビ、二階堂ふみと染谷将太。

いいメンツを揃えているのに古臭くなるのは、江口洋介の暑苦しさがなすものか。。。

ちなみに私は原作小説を読んでいないのですが、江戸川乱歩賞を選考委員満場一致で取った傑作だそうです。打って変わって続編の「指し手の顔」はかなりの問題作らしく、映画を観た後の現在、読むかどうかかなり悩むところです。

何の救いもない、ただ凹むだけの結末

さて映画についてですが、後味の悪さは一級品です。全く救いはありません。スカッとしたアクションものを想定して観ると凹むでしょうね。覚悟して観てください。

ただ、アクションが弱いかというとそうではなく、脳男=鈴木一郎=生田斗真さんの人間兵器っぷりはすさまじい。設定上、脳男は一切の感情を持たず、痛みという感覚すら持ち合わせていない、いわば生けるロボットのような存在なのですが、殴られても蹴られても、銃で撃たれても車に跳ねられても、全く表情の変化がなく、痛みを感じない故に成せる脅威の身体能力で悪人を躊躇なく滅するダークヒーローを、見事に演じてみせます。

正直顔が良いだけの役者かと甘く見ていたのですが、反省。素晴らしい役者です。

そして私がこよなく敬愛する二階堂ふみちゃんが、脳男が追う連続爆弾テロ犯を演じていますが、これがまた秀逸。ふみちゃんがまだ18歳であることを忘れそうになるほど、心の壊れたテロ犯人という難役に入り込んでいます。劇中、かなりエロティックなシーンもあるのですが、その演技たるや堂々としたものです。同世代でふみさんほど演技力のある女優はいないのではないか?(もう少し上だと安藤サクラさんですかね)

この爆弾テロ犯は一切同情の余地の無い人間のクズなのですが、ふみさんは何の躊躇もなく全開で悪人っぷりを晒していて、どんな悪人でも少しの救いを入れたりする昨今の映画には無い、完璧な悪を演じきっていました。

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※まゆげ全剃りのふみちゃん。怖すぎます・・・・

ベテラン陣では、松雪泰子さん演じる精神科医が度を超えた善人ぶりで、いい感じにしゃくに障ります(そのために存在しているのでしょう)。たいていの人は彼女に共感できないでしょうね。

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この映画には、リアリティが欠けている

舞台は現代ながら、多くのシーンで使われる爆発にしろ護送車テロにしろ病院テロにしろ、とにかく設定や演出がぶっ飛びすぎていて緊迫した場面でとめどなく続く爆発に笑いすらこみ上げてきます。

ただ、不思議なことにそれがさほど悪いものではなく、ある種ぶっ飛びすぎていることが最上のカタルシスにすらなっていると感じました。ちょっと派手にしすぎたからここまでにしておこう、とか、少しは悪人の人物描写に救いをいれておこう、とか、そんな考えはどうやら微塵もなかったようで、ひたすらに過剰過剰過剰!な演出が続きますが、どうやら劇中の脳男のように、脳内麻薬エンドルフィンが観ているうちに増えすぎて感覚が麻痺してくるのかもしれません。

邦画では近年まれに見る、“ぶっとんだ良い映画”でした。傑作とまではいえませんが、ド派手な爆発シーンが見所なので、ぜひ映画館で観たほうがいいと思います。


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