映画『籠の中の乙女』 家はひとつの宗教国家、教祖が狂えば教徒も狂う。

籠の中の乙女

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幸せの裏側

一見幸せそうに見えるこの家族。でも・・・どこか変だ。

食事を囲んでの一家団欒。娘が母親に「ママ、お電話を取ってくださいます?」と尋ねる。すると、母親は笑顔で瓶に入った塩を手渡す。どういうことでしょうか?

籠の中の乙女

同様に、海はアームチェア、高速道路は強い風、ゾンビは黄色い花を指しています。

異質に見えるかもしれませんが、これが彼らの共通言語。家から一歩も出さずに育てられたこの3人の子どもたちは、親から教えられた言葉を忠実に学ぶ。この家では厳格な父親が教祖なのです。

籠の中の乙女

ギリシャの郊外でプールの付いた豪邸に住む一家。父親は狂人というわけではない(風に見える)。ただ子どもを大事に育てようとするあまり、この腐った下界にわざわざ子ども出す必要はないと考えたのでしょう。子どもたちには名前もなく、「外は危険」と教えられるがままに家で安全に暮らしています。

しかし、成長した息子の性欲処理のため、父親が下界から女を呼びよせたことから、この鳥籠のルールが崩壊しはじめることに・・・。

あらすじ

ギリシャのとある裕福な家庭の父母は、3人の子供たちを家から一歩も外出させず、社会から隔絶させて育てていた。子供たちに名前すら付けず、外の世界は恐ろしいと洗脳し、更に外の世界に関わる言葉については嘘の意味を教えるなど徹底した管理の中、父親は母親を含めた家族全員に対して絶対的な地位に君臨していた。

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やがて長男が思春期に突入すると父親は性欲処理用に女を雇うことにする。その女として選ばれたクリスティナは長男との関係に飽き足らず、長女にまで手を出す。一方、性に目覚めた3人の子供たちは無邪気に性的な関係を結ぶようになる。

クリスティナに性的な関係を求められている長女は、その代償としてクリスティナが持っていたビデオを手に入れると、録画された内容から外の世界に興味を抱くようになる。ビデオの存在を知った父親は長女を激しく折檻し、更にクリスティナの家で、彼女をビデオデッキで叩きのめすと、呪いの言葉とともにクビにする。

籠の中の乙女

両親の結婚記念日を祝った夜、長女はかねてより両親から言われていた「犬歯が生え変わったら外の世界に出られる」との言葉を信じ、嬉々として自ら犬歯を折ると、父親の車のトランクに隠れる。長女の姿が消えたことで慌てた家族だったが、諦めた父親は翌朝、長女がトランクに入ったままの車で仕事に出かける。父親の職場の駐車場に止められた車のトランクが大写しにされ続け、何も変化を見せないまま物語は終了する。

ウィキペディアより

家族の幸せは、何をもって測られるべきか

『籠の中の乙女』(かごのなかのおとめ、ギリシア語: Κυνόδοντας、英語: Dogtooth)は、2009年のギリシャのドラマ映画。監督はヨルゴス・ランティモス(英語版)。第62回カンヌ国際映画祭で上映され、ある視点賞を受賞。第83回アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされたことで話題を呼びました。

ある視点賞がどのような基準で決められているのかはわかりませんが、この映画を観れば納得。限りなくリアルな世界で、限りなく不条理なこの家。さらに映し出すカメラはほぼ動かない。まるでこの変わった家を定点観測しているような感覚に陥ります。

籠の中の乙女

完全に狂った世界でありながら、当の本人たちはわりと幸せそうに暮らしているんですよね。それを担保しているのは、結界となっている豪邸を維持できるほどの生活ができているところにあるのかもしれません。言うならば、子どもたちにとって身の安全は絶対的に守られているわけですから、ここを出ない限り生命の安全を脅かされはしない。

生存本能的には、この家をわざわざ出る必要はありません。父親からの偏った知識のみを授けられたにも関わらず、人間である本質の部分は私たちと変わらないのがおもしろい。

籠の中の乙女

異質で不気味なんですが、それは一般的な人間の生活を私たちがしているからに過ぎず、この家族が幸せなのかどうかを測るのは私たちではありません。これはこれで、ひとつの幸せのかたちを描いているのかもしれないですからね。

しかしその生活も、私たち側の世界に属する人間を送り込んだことからほころびが出始めます。

崩壊へ向かうプレリュードは、長男が奏で、姉妹が踊ることで表現されます。

この踊りの不気味さは、筆舌に尽くしがたい。薄ら寒くなってくる程の不気味さはどこからくるのか。これまで何かを表現する必要がなかった彼女たちは、自分が思うがままに表現した結果がこの踊り。

ヘタなホラー映画よりよっぽど恐ろしい「何か」を内包したこの映画。

観終わった後、何だか世界が歪んだように見えます。人を狂わせるものは、お化けやモンスターなんかではなく、現実から少しはみ出した「非常識」なのかもしれませんね。

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