若き詩人・平岡あみの詩に心が惑う 『女子でやるサッカーの試合ごめんねが飛び交うばかりで男になりたい』

宇野亜喜良

http://sdr-ami.blogspot.jp/よりお借りしました。

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圧倒的な言語感覚の詩人・平岡あみ

平岡あみという詩人を知ったのは、先日書評を公開した山内マリコさんの『アズミ・ハルコは行方不明』がきっかけ。本の扉裏に書かれていた平岡あみさんの詩がとても印象的で、すぐにAmazonで著書を購入しました。

ちなみにその詩はこちら。

女子でやるサッカーの試合ごめんねが飛び交うばかりで男になりたい

ちなみに私は、詩を読み解くセンスは備えていません。それでもこの詩が素晴らしいことはわかります。一瞬でその光景が思い浮かびませんか?特に女性ならこの感覚を理解できるのではないでしょうか。

唇に真珠を含んだ天性の詩人

言葉のセンスがいい人が大好きで、詩人なら茨木のり子、歌人なら穂村弘、シンガーソングライターなら青葉市子の言葉遣いにはため息しか出ません。上辺だけの綺麗さだけではなく、しっかり毒を表現される方だと思っています。

平岡あみさんは1994年ニューヨーク生まれということで、2015年現在は21歳。前述の詩を発表したときはまだ中学生か高校生くらいでした。ならではの感性による詩で、瑞々しさと初々しさ、儚さなどが同居したとても美しい言葉遣いをする方だなぁと嘆息。ちなみに母親も詩人で、その影響を多分に受けているそうです。

ちなみに、アンパンマンの著者であるやなせたかしが監修していた『詩とメルヘン』という雑誌で平岡あみさんの詩が取り上げられた際、「唇に真珠を含んだ天性の詩人である」(同誌、2002年8月号)と評された程の逸材なんですね。

※ちなみに詩とメルヘンは休刊となり、現在は詩とファンタジーという名前の雑誌として刊行されています。

著書では挿絵作家の宇野亜喜良がイラストを担当しており、平岡あみさんの詩とコラボした耽美な絵は、なおのこと、言葉の美しさを引き立てているように感じられますね。

ぜひこの著書で、絵と一緒に言葉を楽しんでもらえたらと思います。

ami

詩をいくつか。

最後に、平岡あみさんの詩をいくつかご紹介しておきます。

まずは長い詩をひとつ。

    成長

   中学生って
   一年生はまだこどもで

   二年生はおとなの
   入り口にいるらしい

   夏休みが
   変わり目だという

   豹変という
   かなり怖いことばで

   わたしたちは
   とらえられている

   成長っていうことばを
   つかってください

我々大人は、許容できない成長を勝手に豹変と呼んだりする。大人はわかってくれないという思いが強く込められているように感じますね。最後の「つかってください」にその想いが宿っているようです。

続いては短歌を。五七五のリズムでありながら、そのメロディは自在に揺らぎ、最初に感じる違和感は快感となって還ってくる。日本語はここまで自由に変化できるんですね。ルールに縛られながら、ルールを躱すような感じというか。

暗い部屋で本を読んでる母がいる目が悪くなるよ介護はわたし

彼氏という男が欲しいのとちがうすきっていうその気持ちがいいんだ

雪なのに彼が送ってくれました雪だからとも言い換えられます

あとどれくらい子供でいられるのかお風呂上りに裸でおもう

寝不足で二重になっただけなのに先生からは整形疑惑

渋谷には誰かいるから出かけますその空気に触れるだけでいい

ともだちは実はひとりだけなんです認めるまでに勇気が必要

親子って結び目見えないものだからほどこうとするだけ無駄なんだ

「ともだちは実はひとりだけなんです認めるまでに勇気が必要」

この一首に打ちのめされました。心を病んでいたときにこの歌に出会っていれば、すんなり認められたかもしれないなぁ、なんて。


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