映画「ベイマックス / BIG HERO 6」一分の隙もない、完璧なエンターテイメントがここに。

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「最高に面白かった!」以上の表現が見当たらない

ディズニーの前作「アナと雪の女王」のときもそうでしたが、公開からだいぶ遅れて観に行きました。そもそもディズニー作品が好きではないのでいつも中々食指が動かないのですが、そうして何となく観に行ったアナ雪に衝撃を受けたのは、以前に書いた記事通りです。
もう王子様を待っているだけのプリンセスはいらない!『アナと雪の女王』はディズニーが贈る新しいプリンセス映画

で、今作「ベイマックス」ですが、さかんにテレビで流れるAIの「Story(eng ver.)」をテーマとしたCMに辟易していたため、またしても中々観に行かず。日本のコンテンツビジネスにありがちな「感動の押し売り感」が強くて興冷めしていたんですよね。

アナ雪の件もあったので、食わず嫌いは良くないと昨日「ベイマックス」を観に行ったわけですが、これはもう衝撃どころではありませんでした。上映中一度も目を離さず、姿勢も一切変えず、食い入るようにのめり込んだ映画はこれが初めて。エンターテイメント映画として、非の打ち所のない傑作だったとしか言いようがありません。

ライターとしてこんな陳腐な表現を正直使いたくありませんが、「最高に面白かった!」という感想が何よりも正しいのかもしれませんね。

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簡単にあらすじを…

舞台となるのは、高度な経済成長を遂げている都市サンフランソーキョー。その片隅で違法な賭けロボット対決が行なわれていた。屈強なオトナたちが自慢のロボットを持ち寄り賭け対決に興じる中、ひとりの弱々しい少年が小さなロボットを手に現れ、賭け勝負に挑んだ。

オトナたちはその見た目の弱々しさを嗤うが、テクニックを駆使しあっという間にその小さなロボットで相手を倒し、掛け金を手にした。そのことでオトナたちに追われることになった少年は、バイクに乗って現れた兄に助けられるが、違法ロボット賭博を追う警察の厄介になってしまうことに。

14歳で高校を卒業する程の頭脳を持った、その少年の名はヒロ・ハマダ。彼は幼いころに両親を亡くし、兄のタダシとともに叔母のキャスとともに暮らしている。天才的頭脳をロボット賭博にしか使っていない弟を見かねて、タダシは自分が通っている大学の研究室にヒロを連れて行った。

大学の研究なんて…とバカにしていたヒロだったが、その研究室には愛すべき「科学バカ」たちが自分の研究に没頭していた。何よりもスピードを重視するゴーゴー、機械の変質に笑顔を見せるハニー・レモン、とにかく何でもスパっと切りたがるワサビ、怪獣やアメコミの強烈オタクのフレッド、そしてタダシは体と心のケアロボット・ベイマックスの開発に注力していた。彼らの姿に影響を受けたヒロは、兄と同じ大学に入ることを決めた。

大学に入る条件は、研究発表会でロボット工学の権威・カラハン教授に認めてもらうこと。この発表会でヒロは、自分が思ったとおりに形を自由に変えられるマイクロボットを発表。会場を湧かせたヒロは、カラハン教授に認めてもらえることとなった。その技術に目をつけた大手テクノロジー企業のクレイ社長に誘われたが、ヒロは結局カラハン教授とともに歩むことを選択する。

晴れて大学に通えることとなり、喜びを隠し切れないヒロとタダシがサンフランソーキョーの夜景を眺めていると、背後にある大学から突然火の手が上がる。カラハン教授がまだ中にいることを知ったタダシはヒロの制止を振り切って大学に飛び込むが、その直後に大学は大爆発を引き起こした。

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兄と教授を一片に失い、ヒロは心を病んで家に引きこもってしまう。そんなあるときヒロは自分の足にロボットを落としてしまい、その痛みで悶絶していた。すると、ヒロの隣にあったタダシのベッド脇から突然、風船型のロボットが起動し始める。その名はベイマックス。タダシがつくっていた体と心のケアロボットだ。

痛めた足をケアしようとするベイマックスとヒロが問答をしていると、ベッドの下にあったヒロの服が動いていることに気づく。その中には以前ヒロがつくったマイクロボットがあり、どこかに行きたそうに動いていた。ベイマックスとヒロがマイクロボットの指示に従いその場所へ向かうと、そこは大量のマイクロボットが生産されている謎の工場だった。

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工場を見まわっていると、ヒロはカブキの面をかぶった男に見つかり、なぜか命を狙われることになる。命からがら逃げ出したヒロとベイマックス。ヒロは兄の命を奪った火事が事故ではなかった可能性を思い、この謎を解き明かそうと動き始めた!

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何一つ特別なことをしていない「面白さ」

ベイマックスには、格別何か優れた表現や演出があったわけではありません。正直ストーリーに目新しさはないし、キャラクターもそれほど際立った特徴があるわけでもありません。ディズニーのお家芸らしく、きちんといつものお涙頂戴シーンもありますし、心躍るアクシデンタルなシーンもしっかり備えてあります。

なのに何故かめちゃくちゃ面白いのは、それぞれのパーツが完璧にマーケティングされた故に産み出されたものだからではないでしょうか。これはライターのヨッピーさんも以下のブログ記事で指摘されていて感嘆したのですが、観客となる人たちが何を面白いと感じてくれるかについて徹底的にマーケティングを行ない、それぞれのパーツを最高品質にまで高めてまとめた結果産み出されたのがこの「ベイマックス」なのではないかということです。
ベイマックスが最高すぎて恐怖すら覚えた件

今作はアメコミを原作としていることから、いわゆるヒーローもの映画としてつくられています(日本ではベイマックスのキャラクターをもっとビジネスとして押し出したいように見えますが)。ヒーローもののお約束をきっちり映画に取り入れアメコミファンをも唸らせ、ゴレンジャーに代表される戦隊ものとしても破綻が無いようにし、ディズニー映画に求められる愛や友情はおざなりにしない。

言わば、観客100人中100人全員を満足させられる映画としてつくられているようなフシすら感じますね。もちろんそんなことは現実には叶いませんが。

ネタバレになる部分なので多くは語れませんが、途中ヒロがダークサイドに落ちかけるシーンがあります。日本映画だとそのダークサイドストーリーを追ったりするものですが、ヒロはわりとあっさり立ち直る。このあたりは、多くのディズニー映画ファンが望んでいるストーリーのマーケティング結果によってこうなったのかなと感じさせます。安易な復讐劇にせずきっちりとハッピーエンドにしてしまうあたり、ディズニーらしいつくりだなと感心しました。

サンフランシスコ+日本のコラボレーション

ベイマックスの原作がアメコミであることは先に言いましたが、実はこの映画、原作とは設定がかなり変わっています。テレビCMで話題になったとおりベイマックスは、「日本」をテーマに盛り込んだ作品です。ですが原作アメコミでは、そもそも舞台は日本そのもので、登場人物も日本人なんです。そもそもが日本をテーマにした作品だったんですね。むしろ映画のほうが日本色を抑えているんです。これはこれで面白そうなので、興味のある方はぜひ原作を手にとってみてください。

舞台となるサンフランソーキョーは、名前の通りサンフランシスコと東京を混ぜあわせたような街並みです。ところどころ「これって中国じゃないの?」と思わなくもない表現が見られますが、海外の人間から見たアジアなんてこんなものなんでしょうね。それが特段悪いとも思いません。こちらだってヨーロッパと一括りして判断したりしますから。

とにかく日本をリスペクトしているのは伝わってきて、極端ですが「日本人でよかったな」とすら思えるところもありました。もちろんディフォルメされていますから、ありえないところに鳥居があったり神社があったり招き猫があったり…。でもそれは間違った日本のイメージを植え付けたいからではないでしょう。絵面的な面白さはもちろん、少しでも日本とわかる要素を練り込みたいという、温かい想いがあったからではないでしょうか。

私は2Dバージョンで映画を観ましたが、このサンフランソーキョーの街並みを3Dで観てみたいがために、もう一度観に行こうか検討しています。

伝えたいのは、さまざまな形の「愛」

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ビジュアル的な面白さに目を奪われがちですが、映画「ベイマックス」で伝えたいのは、ディズニーの系譜であることを象徴する「愛」のかたちでしょう。

ヒロとタダシの兄弟愛はもちろん、タダシの研究仲間との友情、叔母キャスとの(義)親子愛、ベイマックスとの形容しがたいかたちの愛…さまざまなかたちの「愛」が描かれています。これも別にベイマックスに限った話ではありません。ディズニー作品なら必ず含まれている定番ではあります。

ベイマックスは究極のエンターテイメントですが、その愛の表現にも手は抜いていません。このあたりはきちんとディズニー映画としても完成されているんだなと感心しました。

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前述のヒロがダークサイドに落ちかけるシーンなど、ヒロの感情が不安定になるところでは、ベイマックスが丁寧に示唆してくれます。「復讐はよくない」「争いはよくない」「暴力はよくない」「ケアロボットに空飛ぶ能力やロケットパンチが必要でしょうか?」。ケアロボットらしく優しい表現でそう言ってきます。

ストレートな戦争批判、暴力批判。そんなかたちの「愛」も、ベイマックスには含まれています。本当に、全く隙がありませんね。

「持てる者」に対する、筆者のどうでもいい“ひとりごと”

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少し気になったのは、これは「持てる者たち」による活劇であったということ。ヒロは14歳で飛び級して高校を卒業したスーパーエリートですし、兄のタダシや仲間たちも科学のスキルを持ったエリート。もちろん敵も「持てる者」です。

まぁディズニー作品はほとんど「持てる者」がメイン(ピクサーは別かな)なのでベイマックスに限った話ではありませんが、やはり持てる者がすごい仲間と持てる力を駆使して悪を倒すヒーロー活劇なんですよね。

それが作品を貶めているわけではなく、むしろ観ている最中はまったく気にならなかったんですが、ライオンキングに代表される「持てる者」が当たり前のようにその力を使って悪を倒すストーリーに、私は普段まったく興味が湧きません。

「持てる者」なんだから勝って当たり前じゃないの?なんて卑屈に考えたりするんです。マイナスからプラスにのし上がっていく物語の方が凡人としては非常に共感できるため、ディズニー作品があんまり好きじゃないんだろうなぁ。

これは個人の好みなので、ディズニーは何にも悪くありません。王道を走るとはそういうことですから。その王道で、道を逸れた人間までも感動させるって、本当に凄いことだと思います。あらためてディズニー作品のパワーを思い知ることになりました。

いやぁ、本当にいい映画ですよ、ベイマックス。レビューを書いていたら、また観たくなってきました。やっぱりもう一回観に行こうかな、今度は3D版で。

↓真剣に購入を検討中。


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