【書評】パーソナルメディアに徹する津田大介の著書『ゴミ情報の海から宝石を見つけ出す』は、情報リテラシーを磨くための羅針盤となる。

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自らがメディアとなる働き方

突然ですが、私の憧れはメディアアクティビストの津田大介さんです。新しい著書が出るたび購入しますし、運営されている有料メールマガジン『メディアの現場※』も毎号隅から隅まで読んでいるくらい、津田イズムに侵されています。
※メディアの現場(http://tsuda.ru/category/tsudamag/)

自分でも、なぜこんなに津田さんのファンになったのか定かではなかったのですが、表題の新著『ゴミ情報の中から宝石を見つけ出す』に収録されている付録②、宗教学者の島田裕巳さんによる”津田大介論”を読んで、それが何かはっきりしました。

そもそも私は、ジャーナリストとしての津田さんに憧れていたのではなく、メディアアクティビストとしての津田さんに憧れていたんですね。つまり、自分自身がメディアの役割になることを望んでおり、それを実践している津田さんを尊敬しているということなんです。

それでは付録②から、いくつか引用させていただきます。

津田マガの読者のなかに、津田には透明感があると述べている者があったが、このとらえ方は興味深い。透明感を漂わせているジャーナリストというものは、おそらくほかに存在しないであろう。むしろ、一般のジャーナリストは、透明感とは対極な位置にあり、強い個性を発揮し、確固とした主張を展開しようとする。少なくともそれを理想とし、その理想像に近づくことをジャーナリストの本質として理解している。その点からすれば、津田には「ジャーナリスト」という肩書きはふさわしくない。
※P.228 9行目より。太線は私によるものです。

要約も、だれがそれを行なうかによって、その結果は異なってくる。同じ場に二人の人間がいて、ともに要約による中継を行ったとすれば、伝えられる内容はおのずと異なったものになってくる。意図的にそうしたことをすれば、同じ会議がまったく違うものとして、その中継の受け取り手に伝えられていく。(中略)だが津田は、そうした意図的な操作をするのではなく、できるだけ忠実に中継することをめざしている。津田の要約はリアルタイムに近いかたちで行われているので、それが正確なものなのかどうか、同じ場にいる人間はそれを確認できる。講演者や出演者も、あとからツイッターを通して津田による要約を確認できる。そうした環境で作業が行われている以上、できるだけ正確に要約しなければならないという圧力が本人にかかってくるわけだが、津田本人は自身の要約について、「一度も間違っているという指摘を受けたことがない」という
※P.234 3行目より。太線は私によるものです。

津田マガの読者にしても、それを読んだあとに摂取されるのは、津田の考え方でもなければ、その思想でもない。津田と対談した人間の持つ情報であり、その姿勢や考え方、問題意識である

その点では、津田本人は没個性的な人間であるともいえる。だが、そのあえて個を主張しない、それを強く打ち出さないということが、彼の魅力にもなっている。個性的な人間は、その個性が強いぶんだけ、他者と対立する危険性を秘めている。個性的な部分を受け入れることができる、あるいはそれを評価する人間だけがアプローチしていくということになるが、パーソナルメディアとしての津田に対しては、だれもがアクセスできる
※P.240 3行目より。太線は私によるものです。

オピニオンとファクトの塩梅

ここから読み取れるのは、津田さんのポジショニングですね。津田マガでは最新の原発情報についての記事も毎号掲載されているのですが、大体こういったことを書こうとするジャーナリストは、自分の立場を表明するものです。つまり、脱原発派なのか推進派なのか。でも津田さんは、自分の立場をはっきりとは発しません。書かれているのは、純然たる事実と、インタビュー等で聞いた相手の考え方だったりするわけです。これが、津田さんに透明感のある印象を受けることの答えだったりします。

ジャーナリストに限りませんが、こういった私の個人ブログでも、やっぱり人は自分の考え方や思想、ファクトに限らずオピニオンを強く発信したくなるものだと思うんですね。というより、そうしたことを発信せずにファクトだけを書いた記事ばかりだと、読んでいてもあんまりおもしろくないんじゃないでしょうか。

なのに、津田マガは無類のおもしろさを発揮している。それは津田マガの重要な部分が、対談の書き起こしで成り立っているからに他なりません。ここでも、津田さんは自分の主義主張を押して討論するような形には持ち込まず、相手が気持ちよく話せるように絶妙なトスを上げることに終始されていることが多いように思います。なので、対談が終わったあとに残るのは対談相手の印象がほとんど。津田さんに対しては、ファシリテーションやコーディネートがうまいなぁ、といった感想を抱くんじゃないでしょうか。

津田大介は、ポスト池上彰?

正直、私が目指しているのはこのポジションなんですね。私自身はそれほど話が上手くないですし、頭の回転も良くはないので喋りで意思を伝えるのは苦手です。ですが、人の話しを聞くこと、そして相手の良さ・おもしろさを引き出すようなトスや相槌を打つのは得意なんです。ですので、インタビューをするのがとても楽しい。終わったあとに「たくさん話せたー!」という笑顔をしている方が多いですので。

津田さんは、ジャーナリストの池上彰さんを尊敬されていると聞きます。共著で「メディアの仕組み」という本も出されていますし。池上さんと津田さんのポジショニングって結構似ていませんか?なるほど、津田さんはある意味では池上さんのようなポジションを目指されているのかもしれません。

この本は、津田さんのメルマガ『メディアの現場』に毎号掲載されているQ&Aコーナーから、テーマにあったものを抜粋され、大きく手直しされた上で収録されたものです。ですので、メルマガを購読されている方はすでに読んだ記事も多いかもしれません。しかしこうやってテーマに沿ってまとめて読むと、新しい発見も多いのではないでしょうか?

私の本はふせんを貼りすぎてこんなコトになっています。↓
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ソーシャルメディアのリテラシーや有効な使い方に悩んでいる人にとっては、まさに羅針盤となる本です。値段も手頃ですので、手に取ってみてはいかがでしょうか?私は全力でオススメいたします。

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