為末大が語る、”諦める力”の本質とは? 「頑張ってもムダ」は本当か!?~僕らが生きるこんな時代の戦い方~ 木暮太一×為末大 特別対談!レポート

サイバーエージェント本社で行なわれたこのイベントに参加してきました。

さっそくレポートを書いたのですが、為末さんの「身もふたもない話」には、物事の本質が含まれています。中身のない「努力信仰」はやめましょう!!

「頑張ってもムダ」は本当か!?~僕らが生きるこんな時代の戦い方~

木暮太一×為末大 特別対談!

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まず最初に、今回のお目当てである為末大さんについて、簡単に略歴を書いておきます。

  • 1978年広島県生まれ。
  • 2001年・エドモントン世界選手権、2005年ヘルシンキ世界選手権で、男子400メートルハードルで銅メダルを取得(陸上トラック種目の世界大会で日本人として初のメダル獲得者)
  • 男子400メートルハードルの日本記録保持者(2013年5月現在)。
  • 2012年、日本陸上競技選手権大会を最後に25年間の現役生活から引退。
  • 一般社団法人アスリート・ソサエティ、為末大学などを通じて、スポーツと社会、教育に関する活動を幅広く行っている。

そもそもなぜ今回、経済ジャーナリストの木暮太一さんと対談することになったのか?

公式ページにはこう記載があります。

現在、6万部を突破するベストセラーになった『カイジ「勝つべくして勝つ!」働き方の話』を出版された経済ジャーナリスト・木暮太一さんが、元陸上競技選手で400mハードルの日本記録保持者である為末大さんに、ビジネス社会を生き抜くための「戦い方」「生き方」そして「心のつくり方」についてお話を伺います。

◎主なトーク内容

・結果が出ないときのモチベーションの保ち方は?

・圧倒的に強い相手と戦わねばならないとき、勝ち目がないときの戦い方は?

・人生の“勝ち”とはどんなことだと思いますか?

トーク冒頭で話されて驚いたんですが、もともと木暮さんは陸上競技経験があったそうです。しかも400mを走っていたという。400mってかなりしんどい上に、為末さんの場合更にそこにハードルを加えているのがとてつもないなという話を、以前に木暮さんが為末さんにしたところ、「ハードルがあった方がリズムがつかめて楽だ。」という答えが帰ってきたそう。・・・なにその感覚!?わかるようなわからないような…。ハードル飛ぶのって、かなり体力使いますよね?

そんな軽い(?)ジャブからクロストークが始まりました。

会話の流れに沿って、重要そうなところをピックアップして書いていきますね。

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Q. 20代はどんな人になりたいと思っていたか?それは実現しているか?

為末さん:スポーツ選手は現役活動時のことはよく考えているが、引退後のイメージを描けている人は少ない。自分の場合、引退後は学校の先生や会社員になるのかなと漠然と考えていた。

木暮さん:スポーツ選手が引退後に活躍していることって少ないですね。

為末さん:例えば、引退後に一番成功している野球選手は誰か、となったときに挙がるのか”板東英二さん”だったりする。引退後に、今までやってきたことのレバレッジが効くと思っている選手が多いですね。

木暮さん:自分の場合、20代はそもそもサラリーマンだったので、そのまま勤めるのかなと漠然と思っていたが、家が自営業なので、親からはゆくゆくは何かで独立することを求められていました。

スポーツ選手の場合、今まで一線で活躍されていたのに、引退後また1からスタートというのは歯がゆいのではないですか?

為末さん:それは、その選手がどのクラスに属しているかによると思います。例えば自分だと、Aクラスになると思います。Sクラスといえばゴルフの石川遼くんや野球のイチロー選手、水泳の北島さん、ハンマー投げの室伏さん、フィギュアスケートの真央ちゃんなどが該当すると思う。僕にSクラスの選手がどう思っているかはわからないけど、やっかいなのは高い「プライド」が邪魔をするということ。選手が引退後に活躍できるかどうかは、プライドが捨てらるかどうかが重要でしょう。

皆さんは、10歳のときに考えていた夢が叶いましたか?恐らくそんな方はあまりいないでしょう。叶ったのが、僕たちなんです。つまり、道を選択することがないままここまできた方が多いんです。なので、引退後の道を「選ぶ」ことができない。

木暮さん:ちなみに僕は、幼稚園のときに消防士になりたかった。理由は、「火事ってそんなに起こらないでしょ」ってこと。幼稚園児でそんなことを考えている僕って天才だと思う(笑)。

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 Q. これから練習すれば、オリンピックに出られますか?

為末さん:100mは無理でしょう。フィジカルで、積み重ねていかないとならないスポーツは難しい。そこがあまり求められないスポーツ、あまりこんなことを言うと怒られるかもしれませんが、アーチェリーやライフル、競技人口の少ない近代五種(乗馬、射撃、水泳、フェンシング、ランニング)は可能性があるかもしれない。

もし勝つことが望みでないならば、競争から降りるのも手である。それで幸せも感じられるなら、その方が良い。僕の場合は、どうしても勝ちたかった。今でも100mのほうが好きだが、勝つために選んだのは400mハードルだった。

テレビを見ていると、同じ色のメダルを横並びに捉えてしまうが、そもそも競技人口が多い100mやサッカーは、敵も多くなるのでメダルを取るのも大変なのが現実です。もしも勝ちたいのであれば、”勝てるところで努力する”のがいい。

木暮さん:為末さんはツイッターで、「努力すれば成功する、は間違っている」と言って炎上した※。誰もが孫正義になれるわけでもないし、藤田晋になれるわけでもない。僕は藤田さんと仕事をしていて、とてもこうはなれないと思い、藤田晋を目指すのをやめた。世間的にみるとドロップアウトしたように見えるかもしれない。でも僕は、競争相手が少なく、新規参入もあまりない、自分の築いたフィールドで努力することにした。

※炎上内容はこちらを参照下さい。

為末大「努力すれば成功する、は間違っている」 「正論」なのに「炎上」してしまうのはなぜ

http://www.j-cast.com/2013/10/28187448.html?p=all

為末さん:恋愛なら、無理なものは無理ってあきらめるんじゃないのかな?行き過ぎるとストーカーになってしまうだけ。でも「夢」はそうじゃない。夢については、初恋が結婚にまで至らないとダメだと思われているふしがある。思い描いた夢を変更するような戦略を取った上での成功は、日本ではあまり受け入れられないのではないかと思う。

木暮さん:この対談のタイトルですが、「頑張ってもムダは本当か?」について、一定数はそう思っているでしょう。職場で頑張っても認めてくれないとか。でもそれって、”頑張っても芽が出ないフィールドで戦っているだけ”じゃない?

為末さん:一生懸命やれば突き抜けることもあるから難しいけれど、みんな頑張りすぎている。諦める努力は必要。それはやはり、寿命があるからじゃないかと思う。人生の有限性を知っておかないとならない

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Q. 才能がない人はどうやって生きていったらいいですか?

木暮さん:自分は、あまり才能はないと思う。また、要領も悪いと思っている。新入社員の頃、「怒られ侍」と呼ばれていたこともある。

為末さん:才能の有る無しで、いろんなことを「選べる人」と「選べない人」がいるっていうのは悲しいけど、いっそ開き直るのも手だと思う。自分の欠点を隠していくと生きていくのが辛くなる。何なら、あえてあだ名をつけられてみて、ポジションを確保するのもありじゃないか。怒られ侍もそうだと思う。

木暮さん:そう言えば、最近のAKBはセンターを目指すことだけが目標じゃなくて、いじられ役などいろんなポジションを目指す戦略に変わってきた、という記事を読みました。

為末さん:それを聞いて思いますが、センターはやっぱりいいですね!それこそ100mの決勝はオリンピックの華だし。でも、そういった”キラキラしたもの”をあきらめることも必要だと思う。

木暮さん:僕のいる出版業界はベストセラーを取ることが華になりますね。ただ、僕はベストセラーは狙わなかった。そのフィールドでは勝てないと思っていたので。僕が最初に出した本は、マックス経済学という分野のテスト対策本だった。かなりマニアックでしょう。光があたらない中でもさらに光があたらないところを攻め続けたんです。

為末さん:大事なのは、「宝くじを買うときは、宝くじの当選確率を知ってから買うべきである。」ということ。統計的な考え方をしてから挑むなら、努力し続けるのもいいんじゃないかな。僕たちふたりに共通しているのは、「自分の弱さ」を認めていることではないか。確率をねじ曲げてまで挑んだ挙げ句に後悔するのは違うんじゃないかと思う。

木暮さん:成功者バイアスがあることを知っておく。才能がない人は、どうしていったらいいか?

為末さん:ロシアでは、小さい頃から回転系の運動を仕込む。そのくらいの年齢でないと習得できないものなので、あとから習得できないものは先にやっておくという考え方。体操を目指してダメなら違う競技へ、などの「つぶしが効く」。

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Q. 下積みや練習なしで手っ取り早く目標を達成する方法はありますか?

木暮さん:以前に堀江貴文さん達と話した際に、「下積みは必要である」という話をしたら、なんでいるのかと攻めよられた。僕はある程度必要だと思うんですが・・・。

為末さん:メソッド化された「型」というものがあります。この「型」は、凡人をそこそこまで引き上げてくれるのに役立つ。しかし、型は天才を殺す。イチローは型にはめると出来上がらなかった。何を目指すかにもよるが、場合によって下積みは有用だと思う。

木暮さん:堀江さんは、例えば大企業で仕事をいやに思うんだったら、すぐにやめて起業すればいいと言っていました。

為末さん:多くの人は、自分が何が好きで何が嫌いかわからないんじゃないか。自分もそう。何がやりたいかなんて、いろいろやってみるまでわからない。

木暮さん:僕は大学受験前、国語の偏差値が38だった。大学なんて入れないかもと思っていたし、文章なんて書けないと思っていた。それでも今は作家をやっている。

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Q. 自分の分野はどうやって決めたらいいでしょうか?

為末さん:もともと僕は、尋常じゃなく足が早かった。しかし逆に球技は全くダメだった。反応が悪かったんだと思う。言うならば、運動は得意なんだけど、運動神経がよくなかった。一般人が運転しているポルシェのようなもの。

木暮さん:ハードルがだめだったらどうしていた?

為末さん:勝ちたかったので、別の何かを選んでいたかもしれない。現在小さな会社を経営しているが、収入のメインは公演とイベントで、大体6、7割。トップ選手と若い選手を合わせて一緒に活動を行なう事業もなっている。引退後のスポーツ選手の活躍を支えられるようなことをしたくて、今年はそれが占める割合を半分くらいにしたい。

木暮さん:そもそも自分の分野が、まだ決まっていない。自分は物書きが自分の最後のフィールドではないと思う。一昨年までは作家、去年は話し手、今年はなんだろう?自分の分野がはっきりわからない。

為末さん:自分もよく分からないが、「滅びない」ことだけはしっかりと考えている大事なのは「勘違いしないこと」。引退前の華やかな世界が、引退後もこのまま続いていくんだと思わないこと。いろんな人と話す中で、必ず聞くふたつのことがある。

  • 「もしあなたが私だったとしたら、引退後どうしますか?」
  • 「俺、どうしたらいい?」

目上の人や学生など人を問わずに聞くのは、「自分の使い方は案外自分にはわからなかったりする」から。やかんは、自分がやかんだとは多分知らない。相手から見ると、実はポットに見えるかもしれない。

木暮さん:マルクスは「商品」についてこう言っている。ひとつは積み上げ(価値)。もうひとつは、他の人にとって価値がないと商品にはならない(使用価値)。

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Q. 勝つことがとても難しいところで、どうやってモチベーションを保てばいいのか?

為末さん:成功者は、起点と頂点でのみ語る(つまり夢を描いたときと叶えたとき)。それができるのは、意思が強いから。我々意志の弱い人間は、短期の目標・目の前の人参が必要。

木暮さん:僕は要領が悪いので、何かしら褒めてあげられるポイントを自分の中にみつけて褒めないと、保てなかった。モチベーションが湧き出てくるように自分でしむけていた。そもそもモチベーションは自然発生的なものではない。やる気は有限で、消費してしまう。やりたいけどやらない状態をつくった方が、じらされてモチベーションが続くことになる。

自分がこれから取り組むことが、確率的にどれくらいで可能なのかを分かって取り組むことが重要だと思う。

〜客席からの質問〜

Q. 私は吃音なのですが、治す具体的な解決策がない中で、おふたりならどうするか?

為末さん:ラッパーというあだ名を自分でつける。コンプレックスを笑い飛ばすのがいいんじゃないか。

木暮さん:「自分はこうである」という事実をまずは受け入れる。例えば僕は3年程前に小麦アレルギーを発症しましたが、そればかりにとらわれると自分を不幸に思ってしまう。それこそ「諦める」ことで楽になった。

Q. 努力して、そこから開き直るまでにしておくべきことは何かありますか?

為末さん:ただ努力をすればいいんじゃなくて、「頑張り方」が重要。

木暮さん:自分に素直になること。それでもやりたいならやればいいし、本人の納得感で決めていい。判断基準はあくまで自分。

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いかがでしたか?

ツイッターが炎上したように、本当に「身もふたもない話」だと思います。でも本当は、為末さんのコトバは悲しいがな真実だと、誰もが確信しているんじゃないでしょうか。それでも努力は実ると信じたい。私には、そんな人たちが苦し紛れにツイッターを炎上させているように見えます。

文中で太字にしたところは、私が真実を突いていると真に思うコトバです。

私は折にふれて、このコトバについて考えるようにします。

「いま努力しているところは、努力するに値するフィールドですか?」

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