映画『永遠の0』 あなたは特攻隊員の死に逝く眼を直視することができるか。

 映画『永遠の0』

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岡田准一演じる宮部久蔵の死に逝く覚悟を秘めた眼を、私は直視することができなかった。正確には、死にたくないという想いや哀しみ、怒りや諦めのこもった眼を見ていられず、逸らしてしまった。この映画の最後を、同じように観た人は多いんじゃないかと思う。宮部の最期の『眼』は、それほどに強烈だった。あらためて役者・岡田准一の凄みを実感しました。ネタバレになるので詳細には語りませんが、映画の最後、そのシーンを見てみなさんがどう思われるかを知りたいですね。

映画『永遠の0』は、この出版不況の中で原作本が300万部を突破したという、怪物的小説を映画化したもの。それまでの文庫歴代販売部数は、1位が湊かなえ『告白』、2位が東野圭吾『容疑者xの献身』。それら強豪を抜き去り、見事栄光の1位を獲得しました。それだけに、映画の出来については多くのメディアが注目していたかと思います。

あくまで私感ですが、小説に忠実なつくりで最初は配役に疑問を抱いていましたが(特に宮部)、いざ観てみると岡田准一以外はあり得ないなと180度意見が変わりました。今作は多くの著名な役者が揃っていますが、基本的に”宮部久蔵=岡田准一が全て”の映画ですね。観た人が印象に残るのは8割方宮部の事じゃないかなぁ。表情・言葉づかい・仕草…どれをとっても完璧な仕上がり。ほかのキャストが霞む霞む(キャストは上に引用した画像・リンク先をご覧ください)。

その中でも、大石予備士官(染谷将太)は独特の雰囲気を醸し出している。彼はある重要なキーパーソンなのですが、若干21歳とは思えぬ老成した演技力。映画『ヒミズ』でその演技力に惚れ込んだ私は、今作でさらにその印象を強めることとなりました(8割が宮部なら2割は大石ですね)。

特攻隊を美化する作品について私は反発的なのですが、この映画および原作では、もっとも興味深いところである『死をあれほど恐れた宮部久蔵が、なぜ特攻隊に志願したのか?』について、明確な答えを描かなかったことに好感を持ちました。

アマゾンのレビュー(下記※1参照)を見ると、明確な答えを描かなかったことを不満点として挙げている方がチラホラ見受けられます。特攻隊の方々がどんな思いで志願し、そして散って逝ったかを知るには、現在では近しい人に話を聞くか、遺書を読むことぐらいしかできないでしょう(※2)。

死を恐れた宮部が、確率100%の死を与える特攻に志願した理由がひとつであるわけがない。もちろん、宮部がそう決断するまでのフローは映画にも原作にも表現されているので察することはできますが、宮部の頭の中までは踏み込めない。観た&読んだ人たちが、「納得はいかないけど、そう決めた理由がなんとなくは分かる」くらいに感じてくれればいいんじゃないかなと私は思います。2013年の現代を生きる私たちに、特攻を選んだ人の気持ちなど理解することができなくて当たり前。ただ、想像する努力は必要かもしれませんが。

私は比較するなら文庫版をオススメしますが、岡田准一の好演は観るに値すると思いますので、スクリーンで観られるうちは劇場でご覧になるのもよいでしょう。

※1.http://www.amazon.co.jp/product-reviews/406276413X/ref=cm_cr_dp_synop?ie=UTF8&showViewpoints=0&sortBy=bySubmissionDateDescending#R3R8VVUBDV3FRH

 ※2.特攻隊員の手紙「胸を打たれた」 大刀洗記念館 「永遠の0」山崎監督見学
http://www.nishinippon.co.jp/nlp/cinema_news/article/56041
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