映画『百瀬、こっちを向いて。』叶わなかった恋が今の自分をつくっていると、僕は信じたい。

元ももいろクローバーの青担当・早見あかりさんが主演をつとめる映画『百瀬、こっちを向いて。』を観にいってきました。

映画『百瀬、こっちを向いて。』公式サイト

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『百瀬、こっちを向いて。』の魅力

最初に言っておきますが、私は「恋愛」映画に全く興味がありません。そもそも人の恋路に興味がなく、どうなろうと知ったことではないからなんですが、では何故この青春ラブストーリー映画「百瀬、こっちを向いて。」を観にいったのか。理由はふたつあります。

ひとつめは、中田永一さんの原作小説が傑作だったから。恋愛モノに興味がないのに何故恋愛小説に手を出したのかというと、そもそもこの表題作『百瀬、こっちを向いて。』は短編で、2005年に発売されたアンソロジー集「I LOVE YOU」に掲載されたことが始まりだったんですね。

私は小説家・伊坂幸太郎の熱烈なファンで、彼の書いたものなら何でも読みたい!と思うくらいに当時ハマっていました(今もファンですよ)。このアンソロジーにも伊坂さんの書いた「透明ポーラーベア」という短編が掲載されていることを知りすぐさま購入したのですが、 せっかく買ったアンソロジーなので他の方が書いた短編も読んでみるかと思い、中田さんの短編に手を伸ばしたのがきっかけでした。

それはもう、泣きました。「なんで俺、人の恋愛模様をみて泣いてるんだろう・・・」と不思議な気持ちになったのを覚えています。正直、現実離れした設定なんじゃないかなと思わなくもないのですが、そんなことすら吹き飛ばしてしまいたくなる程の切なさでした。主要人物4人それぞれに思惑があるのですが、なんだか憎めない。みんなに共感できると言っていいかもしれません。

「運命の出会い」とか、「赤い糸で結ばれている」とか、「さえない私がなんで学園で1番の美男子とつきあうことに!?」とか、「なんで俺に突然血の繋がらない姉妹が!?」とか、もうウンザリするくらいの恋愛の押売りじゃないですか、創作物の世界って。そういうのが嫌になって恋愛モノとは距離を置いていたんですが、どうやら現実と地続きのほのかな恋愛模様は、意外と自分に合うことがわかってきました。そういえば私の愛する映画ベスト1は『ジョゼと虎と魚たち』ですし。

で、ふたつめは、主演女優が「早見あかり」だったから。

何を隠そう私はモノノフなんです。ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、モノノフとは“今会えるアイドル”のキャッチコピーで有名な「ももいろクローバーZ」のファンを指す言葉です。早見あかりは、そのももいろクローバーの元メンバーなんですね(ちなみに彼女が脱退してから、ももクロに「Z」がつきました)。

女優になりたいと脱退した早見あかりが、初めて主演を務めるこの映画。そりゃあ観たいに決まっています。しかしそれだけが理由じゃないんです。原作小説を読まれた方ならきっと分かってもらえると思いますが、ヒロイン「百瀬 陽」のイメージに早見あかりはピッタリなんですよ。猫のように鋭い目つきで透明感のある横顔が印象的な百瀬陽。トップに張ったメインビジュアルを見ていただければ分かるとおり、横顔がとても美しい。この横顔を監督が気に入ったのか、映画中でも横顔のシーンが頻繁に使われています。

また、主題からは逸れますが、この映画は「早見あかり」のプロモーションビデオとしても一級品の出来です。「百瀬陽」というキャラクターをいかに魅力的に撮るかにこだわっていることから、結果的に早見あかりの魅力も引き出されていますので。

このふたつの理由があり映画館で観ることにしました。映画館の大画面で、この美しい横顔を見てみたい。そんな思いで。

※新宿ピカデリーで観てきましたが、チケット販売フロアには『百瀬、こっちを向いて。』のコーナーがありました。実際に使われた制服や寄せられたコメントが展示されていましたので、記念に写真を撮っておきました。

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原作小説と映画版の結末は、少し、だけど大きく違う

基本的には原作に忠実に再現された映画でしたが、ひとつだけ決定的違うことが。それは結末。映画版の方が切なさは圧倒的です。このあたりは反発も大きいんじゃないかと思いますね、特に女性の。だけど私はスムーズに納得できました。というより、むしろ映画版でのラストの方が、よりリアリティがあるんじゃないでしょうか。

まぁそれは、恋愛模様のメイン舞台となる「高校時代」と対になる現代語りの時代が、原作では主人公・相原ノボルの大学卒業間際なのに対し、映画ではノボルが30歳を迎え新人小説家としてデビューした頃になっているのも関係しているかもしれません。高校生で経験した恋が必ずしも実を結ぶものではないではないことは、私のような年齢(31歳)であればよく分かるんじゃないでしょうか。しかし、そんな叶わなかった恋が今の自分をつくっていると、僕は信じたい。映画でのノボルを見ていると、ふとそんな気持ちにさせられます。


『百瀬、こっちを向いて。』予告篇 – YouTube

ありえそうで、ありえない。魅力的な恋愛模様

※多少ネタバレしているので気をつけて下さい。

主人公の相原ノボルは、自分にとって高嶺の花だった神林徹子先輩が同じ3年の男と付き合っていることを知り、それが自分の尊敬する幼なじみの宮崎瞬先輩であることを知ります。ふたりとも人間レベル高いもんなぁと納得しつつも、そういえば宮崎先輩が、1ヶ月程前に神林先輩ではない違う女の子と一緒に歩いていたことを思い出し、不思議に思っていました。

そんなある日、宮崎先輩から図書室に呼びだされて行ってみると、そこには例の神林先輩ではない女の子がいました。野良猫のように鋭い目つきにショートヘア、名前は百瀬陽(ももせ・よう)。この日からノボルは百瀬と付き合うことになりました。といっても、お互いがお互いを好きだったからではありません。宮崎先輩が百瀬と一緒にいたことが噂になり、神林先輩は浮気の疑いを抱いている。そこで、百瀬にはノボルという彼氏がいることを公然の事実とするため、学校内ではカップルとして振る舞うことになったというわけです。

ここだけ聞けば、宮崎先輩のクズっぷりにイラっとするかもしれません。しかしこの提案をしたのは、あろうことか百瀬なんですね。宮崎先輩と神林先輩はお似合いで相思相愛のカップル、百瀬もそれはよくわかっています。それでも宮崎先輩を好きな気持ちは変わらない。しかも宮崎先輩は私にも良くしてくれる。それならば、例えノボルと偽装カップルとして学校で振る舞わなければならないとしても、裏で宮崎先輩と逢えるならそれでいい、と百瀬は思ったんです。可哀想なのはノボルですが、彼は昔事故で生死の境を彷徨っていたところを宮崎先輩に助けてもらった過去があり、かつ幼なじみのお兄ちゃんとして慕っていたことから、しぶしぶこの提案に乗ることになりました。

人間レベル2と自称するノボルの唯一の友だち・田辺にも真実は告げず、毎日振り回されるかのように百瀬と行動を共にするノボル。そんな中、神林先輩の提案でダブルデートをすることになりました。気乗りしないノボルでしたが、デートに着ていく服を品定めするためにノボルの家まで押しかけ、そこで見つけた宮崎先輩の亡き父親(テーラー)の形見分け品である仕立てのいいジャケットに袖を通し、ノボルのベッドの上で楽しそうに飛び跳ねる百瀬を見て、心が揺れた。百瀬と一緒にいて「楽しい」と思う自分。しかしそれを表に出してはならない。なぜなら、百瀬が好きなのは宮崎先輩だから。

映画を観にいったり、みんなで公園ではしゃぎ、パフェを食べ、ボートに乗る。普通なら楽しいはずのデート。しかしこの4人にはそれぞれの思惑があり、表面上の楽しさの裏にはいろんな欲望が渦巻いている。なんとかデートを終え、帰り道で二人の先輩と別れた後、バスから降り立った百瀬と少し言い合いになる。そこで百瀬の口から出た言葉は、「平気でいられると思う?あの人が最終的に選ぶのは、きっと彼女なんだから。」だった。

走り去った百瀬を追いかけようとして駆け出したノボルは、違法に駐輪されていた自転車の列に足を引っかけ倒してしまう。途方に暮れるノボルの前に立ったのは、唯一の友人・田辺。思わず今まであったことを全て洗いざらいぶちまけるノボル。嘘から始まった恋が、いつの間にか本物の恋に変わってしまったことを指摘され、「あんなやつ、知らなけりゃよかった。ずっと他人だったらよかったのに」と嘆く。しかし田辺は首を横に振ってこう言った。「きみはそう言うけどね、僕はそうおもわないよ。だって、そういうの、素敵なことじゃないか」「尊いことだよ」「大切にするべきだ」と。

自分の本心をようやく認めることができたノボルは田辺にうながされ、決着をつけるために走る。そう、宮崎先輩のところに。

・・・さて、ストーリー紹介はここまでにしておきましょう。ここからが『百瀬、こっちを向いて。』で一番胸にくるシーンですから。

※公式ページから人物相関図を引用しておきます。

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叶わなかった恋が今の自分をつくっていると、僕は信じたい。

主要人物であるノボル、百瀬、宮崎先輩、神林先輩。皆さんは誰に共感されますか?私は断然ノボルなのですが、だからといって宮崎先輩を憎む気持ちはないんですよね。というのも、この後のストーリーで宮崎先輩の過去や夢が語られるのですが、それを知った後だと責められない気持ちになるんです。神林先輩はどちらかというと被害者ですし、百瀬もノボルを振り回してはいるものの、悪人ではないと思います。

そう、この作品には「悪人」がいないんです。ラストで見られる神林先輩の意外な一面を含め、完璧な善人もいなければ、悪人もいない。それが『百瀬、こっちを向いて。』の面白さなのでしょう。ストーリーは確かにやや無理のある設定ではあると思います。しかし、そんなことはどうでもよくなるくらいに「人間」が描かれています。言うならば、「ずるさ」のエッセンスが絶妙なのかもしれません。みんな正しくて、みんな嘘つきで、みんなずるい。人間なんてそんなもの。恋愛模様が瑞々しいのはもちろんのこと、その人間模様に注目してもらいたいですね。

長く語り継がれる傑作!とまでは行きませんが、恋愛映画しての出来はかなり高いものだと思います。原作小説は主に女性に人気な作品でしたが、映画版は早見あかりの男性ファン(ももクロからの)の人気が高いようですね。恋愛映画好きにもオススメですし、早見あかりのプロモーションビデオとしても素晴らしい出来ですので、男女問わず多くの方に観てもらいたい作品です!

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